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氷室作太夫家住居の保存活用を進める会の紹介

設立の経緯

津島市片町二丁目に現存する津島市指定文化財氷室作太夫家住居は、江戸時代に津島神社の社家(神職家)と御師を務めていた氷室作太夫家の住宅と津島神社参詣人に饗応する施設を兼ねた建物です。敷地には、嘉永2(1849)年竣工の主屋、安政5(1858)年に建てられたと考えられる長屋、塀、塀重門、さらに、その後の建設とみられる薬医門があり、主屋の東西に庭が広がっています。津島には、かつて、このような「御師の家」が多数存在していたと考えられますが、明治時代になり社家制度と御師制度がなくなると、「御師の家」は減っていきました。そのような状況の中で、氷室作太夫家住居は、建物の主要部分は竣工時の姿を大きく変わることなく、維持されてきました。その後、1989年3月氷室家から津島市に建物と土地が寄付され、津島市は1990年3月、主屋、長屋、門、塀と中庭(主屋西側の庭)を有形文化財に指定しました。さらに、1993年3月には『津島市指定有形文化財氷室作太夫家住居保存整備計画報告書』が作成されました。そこでは、主屋について「公開」「貸室」「収蔵」という提案がなされましたが、実施されずに今日に至っています。その間、建物の老朽化が進み、特に主屋の雨漏りや屋根の一部破損、さらに、長屋東面の崩壊が進んでいます。

このような状況を考えると、文化財保護は当然のこととして、歴史まちづくりの視点から、中心市街地の活性化をも勘案したうえで保存活用計画を策定し、すぐに実施していく必要が生じています。しかし、建造物所有者・管理者の津島市にはそのような動きが見られないので、任意団体である津島の宝物ひろめ隊が、文化庁の示す『重要文化財(建造物)保存活用計画策定指針』に基づき、2018年9月から2019年2月にかけて独自に『ここから始まる「御師の家物語」―津島市指定文化財氷室作太夫家住居保存活用計画』を作成し、2019年3月、建物所有者である津島市に提出しました。

そして、この『ここから始まる「御師の家物語」―津島市指定文化財氷室作太夫家住居保存活用計画』を実現するため、関係者が集まり、2019年7月7日、氷室作太夫家住居の保存活用を進める会を設立しました。

設立目的と活動計画

氷室作太夫家住居の保存活用を進める会は、「御師の家」として貴重な文化遺産である氷室作太夫家住居の保存活用、それを進めながら、歴史まちづくり、観光、学術・文化・芸術の振興という視点から、多数の遺産が存在して潜在的ポテンシャルの高い津島市の中心市街地の活性化を検討し、実行していくことを目的としています。

活動計画

そして、それを実現するため、「御師の家」再生を当面の活動の柱と位置付け、1)津島市への働きかけ、2)世論喚起をめざした情報発信、3)保存活用計画の宣伝、4)文化財支援団体の認定、の4点を具体的な活動として進めています。

1)津島市への働きかけ:氷室作太夫家住居の保存活用を進める会は、2019年10月25日、津島市役所を訪問し、津島市長に対し、保存活用計画と他地域での具体的な保存活用事例を紹介し、意見交換をおこないました。今後も、建物所有者である津島市に対し、氷室作太夫家住居の保存活用を働きかけていきます。

2)世論喚起をめざした情報発信:氷室作太夫家住居の保存活用を進める会は、津島市に遺る歴史的建造物やさまざまな文化遺産を再発見するため、「津島の街並み文化財拝見」と題した見学会を実施しています。

3)保存活用計画の宣伝:フェイスブックで保存活用計画の内容を宣伝しています。

4)文化財支援団体の認定:氷室作太夫家住居の保存活用を進める会は、上記の活動を地道に続けることで活動実績をつくり、将来的に文化財保護法が定める文化財支援団体の認定をめざします。

氷室作太夫家住居の保存活用を進める会集合写真